看板建築

更新日:2022年10月03日

意外とモダン!

看板建築(神田淡路町、神田須田町界隈)

 看板建築とは、現江戸東京博物館館長の藤森照信氏が名付けた、関東大震災後に建てられた住居併用型の木造商店建築群のことです。その特徴は以下のようなものです。

  1. 区画整理で制限されたため間口が狭く、奥行きがある。
  2. 立て板状のファサードと呼ばれる建物前面を銅板やモルタル、タイルなどの不燃性の材質で覆い、まるで一枚の看板のように装飾している。銅板の場合は、亀甲や青海波など江戸趣味の様々な意匠を凝らす。
  3. 3階建ての木造建築は禁止されたため、マンサールと呼ばれる傾斜した屋根裏を3階部分にした構造となっている。当時の建築物を取り締まった「建築警察」の係官の指導によって、3階ではなく屋根裏部屋と称して建てたことによる。

神田に残る看板建築をいくつかご紹介します。

(1)anandakobo (神田淡路町1丁目)

服飾店になっています。表からは見えませんが、屋根は平入で、「昭和3年」の棟札が貼ってあるそうです。立て板状の緑青が吹いた銅版のファサードは矢羽根模様、装飾はインドで銅を打ち出してあらたに作製してもらったものです。

2階外壁が特徴的な緑青が吹いた銅版で打ち出しされていて、右側シャッターに木の絵が書かれ店舗名が装飾された服飾店の入り口写真

(2)サカエヤ(神田多町2丁目)

2.の特長を備えています。「ミルクホール」と書かれたレトロな暖簾がかけられています。

2階部分の立て板状の緑青が吹いた銅版のファサードが特徴的なサカエヤ店舗を道路反対側から写した写真

(3)池田屋(神田須田町1丁目)

かつてここには1.2.3.の条件を満たした典型的な看板建築がありましたが、解体されてしまいました。下の写真は在りし日の池田屋です。

1階はシャッターが閉められ、2.3階の外壁は立て板状の緑青が吹いた銅版のファサードをした住居併用型の木造商店建築の池田屋を正面から写した写真