水盤(心法寺)

更新日:2022年10月03日

樹木の陰に設置された水盤(心法寺)の説明板の写真

場所:麹町六丁目4-2 心法寺境内

千代田区指定有形民俗文化財
2002年(平成14年)4月指定

 銘文によれば、この水盤は万延2年(1861年)2月に檀家である稲垣氏が親族である清林院と浄池院の菩提を弔うため心法寺に寄進したものです。
 なお、水盤に関しては、銘文から判明することとは別に、次のような話も伝わっています。
稲垣氏は番町に居住した武家で幕末の騒乱期に三河国に疎開し、曾祖父にあたる人物が無事疎開できた感謝から、三河国の石を用いて製作して心法寺に寄進したということが、稲垣氏のご子孫に伝えられています。
 また、銘文から判明することとは別に、心法寺住職在誉上人が1861年(万延2年)京都からの帰途に旧地である三河国(幡豆郡宮崎庄、あるいは額田郡宮崎)に立ち寄って、「開山歴代の花崗石八角の墓碑」と「稲垣氏より寄進の大浄水盤」を造らせたという説もあります。
 昭和5年(1930年)刊行の『心法寺雑話』(中谷在禅著)の口絵写真によると、その段階では参道から本堂にむかって左側にありました。寸法は、上部幅が1メートル61.8センチメートル、上部奥行が72.7センチメートル、高さが64.0センチメートルです。銘文は陰刻で、正面に「盥漱」、背面に「萬延二辛酉歳二月吉辰 常榮山在譽代」、左側面に「施主 稲垣氏」、右側面に「為 清林院 浄池院 菩提也」とあります。

(注意)原則一般公開は行っておりません。見学希望の際は必ず事前にお寺にご相談ください。