滝沢馬琴宅の井戸跡

更新日:2022年10月03日

東京都指定旧跡
1955年(昭和30年)3月28日指定

 滝沢馬琴(曲亭馬琴、1767年-1848年)は江戸時代後期に活躍した戯作者で、『南総里見八犬伝』の作者としてよく知られています。
 馬琴は1790年(寛政2年)に山東京伝(さんとうきょうでん)のもとへ入門し、翌年大栄山人(おおえさんじん)の名で、デビュー作『尽用而二分狂言(つかいはたしてにぶきょうげん)』を発表しました。1793年(寛政5年)、この場所で履物商を営んでいた会田家に婿入りし、執筆活動に励みました。「曲亭馬琴」の号を使い始めたのはこの頃で、ほぼ原稿料のみで生計を立てることができたと言われています。
 1824年(文政7年)に神田明神下同朋町(現在の外神田三丁目5番地)に住んでいた息子・宗伯の家に移るまで、ここに住み続けました。この井戸は馬琴が硯に水を注いで筆を洗っていたとされることから、「硯の井戸」と呼ばれていました。井戸は1923年(大正12年)の関東大震災によって失われました。